生き物が選ぶ場所を守れ:ワニールが語る“本当に質の高い生息地”とは
- ワニのワニール

- 2025年4月23日
- 読了時間: 5分
「ワニールの怒り」が見つめた、生息地評価の落とし穴
やあ、僕はワニール。

かつては大地に根を下ろして暮らしていた農夫だけど、森も畑も、気づけば土が痩せて、鳥の声も減った。都会に出稼ぎに来た今でも、自然のことが頭から離れないんだ。今日は、僕が出会ったとある研究を通して、「生息地の質」って何だろう?っていう大切な問いを、みんなと一緒に考えてみたい。

「そこ、ほんとに良い場所なのかい?」
昔、森の中を歩いていた時のことさ。巣作りをしていたキイロハシモズツツキが、ヒナを育てていた。研究者たちは、彼らが巣を作った木と、使われなかった木を比べて、「こっちが良い生息地だ」と評価していたんだけど…僕は思った。
「それって、うまく育てられなかったペアが選んだ場所も、“良い”ことになっちゃうんじゃないか?」
実はこのやり方、森のベテランたちの“ほんとうに選んだ場所”の価値を見落としていたんだ。経験もない若いつがいが、たまたま巣を作った場所。それが「良い場所」として記録され、失敗しても評価されてしまう。そんな不公平、あるかい?
“経験ある命”が語る、森の中の答え
ある研究では、早く繁殖を始める“ベテランつがい”と、遅れて始める“新人つがい”が、どんな場所を選ぶかを比べた。すると、ベテランたちは:
腐りすぎていないヤスナラ(アスペン)
周囲にヤマハンノキが豊富にある場所
北向きに入口を作れる木
そんな条件の揃った「とびきりの場所」で巣を作っていた。
そして驚くことに、彼らは平均4羽以上のヒナを無事に育てていたんだって!
でも、新人たちは条件を見極められず、成功率も低い。従来の評価方法だと、その両方が「同じ良い場所」扱いになってしまうんだ。
ワニールの叫び
「僕たちは、命の知恵を無視してたんだ!」
自然の中で長く生きてきた者たちの選択には、意味がある。それを無視して、「構造だけ」「見た目だけ」で判断していたなんて――僕は、本当に、悔しかった。
経験の声を科学でつなぐ、未来の保全
前の章で「経験豊かな鳥たちの選ぶ場所」こそが、ほんとうの意味での“質の高い生息地”だという話をしたよね。ここからは、その経験の声を科学でどう活かしていけるか――まさに未来の保全の話を、僕の視点で語っていくよ。
生息地はどんどん壊されている
いま世界では、森林伐採や農地の拡大、都市開発、気候変動といった人間の活動が、鳥たちや動物たちの暮らす場所をどんどん奪っている。
森は分断され、
湿地は埋め立てられ、
気候は読めないほど変わり始めた。
「どこが安全で、どこが豊かなのか――それさえ、分からなくなっているんだ。」
だからこそ、いま求められているのは、本当に価値のある生息地を正確に見極め、守ること。ただの緑の多さや木の高さじゃなくて、「命がちゃんと育まれる場所」かどうかを見極めることなんだ。
“本当に良い場所”は、ベテランの鳥が知っている
ここで出てくるのが、**キイロハシモズツツキ(Yellow-bellied Sapsucker)**の研究。この鳥たちは、北米の森で木に穴をあけて樹液をなめる、小さなキツツキだ。
研究チームは、
早く巣作りを始める「早期繁殖ペア」
遅れて巣作りを始める「遅咲きペア」
が、それぞれどんな木を選ぶかを比べてみたんだ。
するとどうだろう――🐤 早期ペアは、
適度に枯れかけたアスペン(ヤスナラ)の木
周囲にヤマハンノキが豊富
北向きの巣穴など、驚くほど“的確な場所”を選んでいた。
そして彼らは、平均して4.41羽のヒナを育て上げたんだ。
一方で、🐣 遅咲きのペアは、そうした選び方ができず、繁殖の成功率も低かった。にもかかわらず、従来の評価方法では、両方の場所が「同じような良い生息地」とされてしまう。
「経験があるかどうかで、結果はぜんぜん違うのに…。」
この差を正しく読み取ることができたとき、初めて、“本当に守るべき場所”が見えてきたんだ。
生息地保全の新しい考え方
この研究は、保全の世界にとって大きな転換点だった。
✔️ これまで:「使われた場所」を一括で比較
✔️ これから:経験豊かな個体の選好に注目して評価する
このアプローチなら、
森林保全の優先順位をもっと正確に決められるし、
貴重な資源や予算を、ほんとうに価値のある場所に集中できる。
「選ばれた場所」じゃなくて、「選んだ者の“目”を信じる」。
それが、これからの保全の合言葉になると、僕は信じてるよ。
結びに
僕ワニールは、森の声に耳を澄ます。それは、ベテランの鳥たちの静かな行動であり、森の経験であり、未来を育む知恵だ。“本当に価値のある生息地”は、数値や見た目だけじゃ測れない。
「経験が選んだ場所」――そこにこそ、守るべき命の未来があるんだ。
次の章では、この“経験の目”をどうテクノロジーで補い、広げていけるか。リモートセンシングや地元の知恵と一緒に、未来を描いてみよう!

📚 参考文献(References)
Squires, K. A., & Bunnell, F. L. (2018). Early breeders choose differently – Refining measures of habitat quality for the yellow-bellied sapsucker (Sphyrapicus varius), a keystone species in the mixedwood boreal forest. PLOS ONE, 13(9), e0203683. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0203683
Chalfoun, A. D., & Schmidt, K. A. (2012). Adaptive breeding-habitat selection: Is it for the birds? The Condor, 114(2), 251–261.
Schlossberg, S. (2018). Habitat selection and reproductive success in birds: are habitat occupancy patterns useful for conservation and management? USDA Forest Service. https://www.fs.usda.gov/nrs/pubs/jrnl/2018/nrs_2018_schlossberg_001.pdf
Nagendra, H., Lucas, R., Honrado, J. P., et al. (2020). Remote sensing for conservation monitoring: Assessing protected areas and biodiversity hotspots. MDPI Remote Sensing, 12(9), 1475. https://www.mdpi.com/2072-4292/12/9/1475
ITRC (2022). Managing Traditional Ecological Knowledge Data. https://edm-1.itrcweb.org/managing-traditional-ecological-knowledge-data/
Science Journal for Kids. Which Nesting Sites Do Birds Choose? https://www.sciencejournalforkids.org/articles/which-nesting-sites-do-birds-choose/



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