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煙のない食卓をすべての人に:クリーン調理とSDG7がめざす未来

更新日:4月14日

📖第1章:煙のない食卓は、当たり前じゃない

── ハリィの視点から

「“当たり前”って、案外、誰かの犠牲の上にあるのかもしれない」

こんにちは、ハリィです。

今日は“火”の話をしたい。

もっと正確に言うと、「世界の食卓で、何が燃えているのか」という話。

「世界の食卓で、何が燃えているのか」
世界の食卓で、何が燃えているのか

🌍 数字が示す現実

2022年時点で、21億人が今もなお、調理に木材や木炭、灯油といった“煙を出す燃料”を使っていると言われています。

Reid et al.(2017)の報告によれば:

「家庭内の空気汚染は、年間400万人以上の早期死亡と関連している」

MITの経済学研究チーム(2022)も、こう警告しています:

「調理の煙は、子どもの発育や教育、経済的自立に長期的な悪影響を及ぼす」

調理に木材や木炭、灯油といった“煙を出す燃料”を使っている
調理に木材や木炭、灯油といった“煙を出す燃料”を使っている

それでも、そこに暮らす人がいる

こうした状況は、統計として語られることが多いけれど、そこには確かに“暮らし”がある。

朝、子どもを起こして、湿った薪に火をつけ、目を細めながらおかゆをかき混ぜる母親。煙に咳き込む子どもの声――。

それが“普通”になっている食卓が、今も世界中に広がっている。


アーシィのことば(北の海から)

「私たちの家も、昔は薪を使ってた。煙の匂いは“生活のにおい”だった。でも、あの咳も、涙目も、“生活の一部”である必要はなかったんだよね。」

🔥「火」は、生きる力にも、危険にもなる

ぼくは環境のことを日々考えているけど、その視点だけでは足りないと、あらためて感じている。

クリーン調理は、気候変動対策であると同時に、健康への投資であり、教育・ジェンダー・経済の問題にも直結している。

🧭だから今、問いかけたい

“火”が灯ることは、生きること。けれど、その火が煙を生み、命を削るものだとしたら?私たちは、そのままにしておけるだろうか?

「煙のない食卓は、贅沢じゃない。命を守る選択肢であるべきなんだ。」

📖第2章:健康と経済を蝕む煙

「目には見えづらいけど、調理の煙は、静かに家族の未来を削っている。」

調理の煙がもたらす影響は、単なる一時的な不快感にとどまりません。それは、人生の“質”そのものに深く関わる問題です。

🏥肺を、心臓を、そして未来をむしばむ

Reid et al.(2017)によると、屋内空気汚染(Indoor Air Pollution, IAP)は、世界で年間400万人以上の早期死亡と関連しています。多くは、呼吸器系疾患や心疾患――そして、その多くが女性や子どもたち

とくに小さな子どもたちは、発育段階で煙にさらされることで肺機能が損なわれ、長期的な健康リスクを抱えながら育つことになります。

📉見えない経済的損失

MITの研究(2022)はさらに踏み込んでいます。煙による健康影響は、次のような“見えにくい経済的損失”を生んでいると示しています。

✅ 家族の医療費負担の増大

✅ 看病のために女性が働けない

✅ 子どもの認知・身体発達の遅れ

✅ 将来の学習成績や就業機会への悪影響

「煙は、未来の可能性まで曇らせてしまう」

タックの声(現実の中に生きる一人として)

「ぼくの叔母さん、いつも咳してたんです。でもそれが“普通”だと思ってた。家族って、毎日あの煙の中で暮らしてたんだなって…今思えば、もっと早く“何か”できたんじゃないかって思うんです。」

🔄この問題は「個人の選択」ではない

煙を吸ってしまうのは、選んだわけではなく、選べなかったから。つまり、これは「教育不足」ではなく、エネルギーインフラと政策の格差の問題です。

「この煙をなくすには、“技術”だけじゃ足りない。“政治”と“共感”が必要なんです。」

📖第3章:理想の火――再生可能エネルギーへの夢

「技術はある。ただ、まだ十分に“届いていない”だけだ。」

SDG7は、こう語ります。「すべての人に、持続可能で、近代的なエネルギーへのアクセスを」

その中核をなすのが、再生可能エネルギーによるクリーン調理技術です。

🌿希望の技術たち

🔆ソーラー調理器

太陽の力を使って加熱・煮炊きを行う。燃料不要・CO₂排出ゼロ。

🔁バイオガスシステム

家畜糞や有機廃棄物から得られるガスを用いた調理。循環型で持続性が高い。

🔌電気調理器(グリッド接続・オフグリッド両方)

太陽光やミニグリッドで発電した電気によるクリーンな加熱。

トラジーの言葉(宇宙視点の提案)

「火は進化する。それが“破壊”から“調和”へと変わるのが、文明の進化というものだ。IDGsの時代には、“火”すらも惑星と調和する道を選ぶのだよ。」

📉なぜ、まだ普及していないのか?

UNDPなどの報告によれば、これらの技術は「理論上は有効」であっても、以下のような壁に阻まれています:

⚠️ 初期投資(購入費用)が高い

⚠️ 現地のニーズと合わない設計

⚠️ 技術支援・保守の体制が不足

⚠️ 文化的・料理習慣への配慮不足

🧭理想と現実をつなぐために

ここで必要なのは、“正しさ”の押しつけではなく、寄り添いながら共に作る未来像

「“火の進化”は、技術と共感の掛け算で進む」

“正しさ”の押しつけではなく、寄り添いながら共に作る未来像
“正しさ”の押しつけではなく、寄り添いながら共に作る未来像

📖第4章:現実の炎――今を生きるためのLPG

「理想が届く前に、命が尽きてしまうなら――それは正義とは言えない。」

クリーン調理というと、“再生可能エネルギー” “バイオガス” “未来の火” という言葉がよく並びます。

けれど、“今”を生きる人にとって、必要なのは“届く選択肢”です。

ハイダラの問い

「だったら今、肺病で死にかけてる子どもを見捨てるのか?インフラが整うまで待てってか?正義ってのは、“今、手に取れる解決策”じゃないのかい?」

🔥LPGという「橋渡し」

液化石油ガス(LPG)は、化石燃料ではありますが、

  • 屋内の空気汚染を大幅に削減

  • 調理時間の短縮

  • 森林伐採の抑制といった現実的なメリットを持っています。

UNDPやBorgen Projectも、

「LPGは再エネ移行までの“ブリッジ(橋渡し)燃料”として、重要な選択肢である」と明言しています。

💡理想と現実の“接続点”

ハリィは、その主張を否定しません。

「ぼくたちは、“理想”と“現実”を切り分ける必要がある。LPGは“最終形”ではないけど、“命をつなぐ中間点”になり得る。大事なのは、その先にちゃんと道が続いていること。」

ワッシの介入(尊大な行動派)

「よーし、話はまとまったな?再エネだ、LPGだって、言ってるだけじゃ何も変わらん。俺がやる! クリーンコンロ500台、クラファンで今月中に出す! 誰より早く、誰より目立って、誰より現実的に!それが“俺流SDG”だッ!」

→ 傲慢で騒々しいけれど、実際に最速で行動するワッシの姿に、若い世代は心を動かされていきます。

🌉本章のポイント

  • クリーン調理は“理想の技術”だけでは届かない

  • 短期的な命のための橋渡し(LPG等)と、長期的な移行ビジョンの併存が必要

  • ハイダラ=痛みの声、ワッシ=即時行動、ハリィ=中庸と誠実な接続


理想が届く前に、命が尽きてしまうなら――それは正義とは言えない。
理想が届く前に、命が尽きてしまうなら――それは正義とは言えない。

📖第5章:沈黙の代償――なぜ行動が遅れているのか?

「知っていて、動かなかった。その“沈黙”が、未来を奪っている。」

クリーン調理に関する技術は、すでに存在しています。にもかかわらず、2030年までに18億人がアクセスできないという予測が出ているのはなぜでしょうか。

🧩3つの「壁」

1️⃣ 投資の壁

国連の報告では、2022年のクリーン調理関連投資額は、必要額の15%未満。圧倒的に足りていません。

2️⃣ 政策の壁

多くの国で、調理用エネルギー政策は後回し。「電力」や「交通」よりも優先順位が低く扱われています。

3️⃣ 無関心の壁

一番大きいのは、**「見えないから関心が持たれない」**という沈黙。煙の中で暮らす人の声が、政策にも、メディアにも届いていない。

ゾウママの静かな怒り

「あなたは、煙に咳き込む子どもの声を、聞いたことがある?それを知らないまま、“優先順位”なんて言えるの?」

ゾウママの声は、怒鳴らない。けれど、その一言は、すべての沈黙に刃を入れるような力を持っています。

ジャンの反省

「ぼくは記事にしたことがなかった。もっと“フォトジェニック”な話題ばかり取り上げてた。 でも、いま思う。伝えるべきものを、ぼくらが黙ってしまっていたのかもしれない。」

🧭だから、今こそ

「この煙は、もう“知らなかった”では済まされない。」

📖第6章:未来の火をどう灯すか?――行動と対話の提案

「正しさを競うよりも、火を灯す方法を一緒に探したい。」

ここまで見てきたように、クリーン調理の課題は、単なるエネルギーの話ではありません。健康、経済、ジェンダー、教育、気候、そして文化――それぞれが交差する、極めて複雑な社会課題です。

でも、複雑だからこそ、**「一人では解けない。でも、一緒なら進める」**と、ぼくは信じています。

🤝火をつなぐ人たち

タック:「小さな行動しかできないけど、“声を上げる”ってことから始めてみたい。」
アーシィ:「未来のために動くって、大げさなことじゃなくて、“知って、考えて、話す”ことからなんだと思う。」
ゾウママ:「一番大事なのは、“誰かの声が届いていない”ということに、気づくことよ。」

🔧できることは、意外とたくさんある

  • クリーン調理技術の普及に関する寄付・クラウドファンディング

  • ローカルの学校やイベントでの学習会・ワークショップ

  • SNSでのストーリー共有と声の可視化

  • 市民として政策提言・署名運動に関わる

ハリィの結びの言葉

「行動は、完璧じゃなくていい。ぼくたちにできることは、“まだ見えていない火を照らすこと”。それが、未来のあたたかさにつながっていくと思う。」

📚参考文献一覧・使用データソース

  1. Reid et al. (2017)「Household air pollution: a neglected problem worldwide」https://ehjournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12940-017-0272-y

  2. MIT Economics Working Paper (2022)「Indoor Air Pollution, Health, and Economic Well-Being」https://economics.mit.edu/sites/default/files/2022-08/Indoor%20Air%20Pollution%20Htlh%20Econ%20Well%20being.pdf

  3. UN Sustainable Development Goal 7 特集ページhttps://www.un.org/sustainabledevelopment/energy/

  4. Goal of the Month – Clean Cooking(国連広報)https://www.un.org/sustainabledevelopment/goal-of-the-month-goal-7-affordable-and-clean-energy-4/

  5. Borgen Project「Solving Energy Poverty」https://borgenproject.org/solving-energy-poverty/

  6. UNDP「Bridging the divide through sustainable and innovative energy technologies」https://www.undp.org/publications/bridging-divide-through-sustainable-and-innovative-energy-technologies

🔍エネルギーと気候をめぐる「問い直し」へ

このシリーズの次回からは、「クリーン調理」からさらに視野を広げ、以下のようなトピックを掘り下げていきます:

🔌電気が“当たり前”ではない世界

「アメリカに住んでいると、“安くて無制限で信頼できる電気”が当然のように感じられます。でも世界では、13億人がいまだに電力へのアクセスがありません。」電力の不平等と、エネルギー正義(energy justice)について考えます。

👶マラウイの子どもたちと肺炎

「肺炎は、マラウイで5歳未満の子どもの主な死因のひとつ。原因の一つは、家庭内の煙を子どもが吸い込んでいることです。」公衆衛生とエネルギーアクセスの交差点について掘り下げます。

🌍クリーンエネルギーの“グレーゾーン”

LNG(液化天然ガス)は本当にクリーン? バイオ燃料の裏に潜む“見えない化石燃料”の使用量

「環境にやさしい」とされる技術の盲点と、その再設計の可能性を追います。

🌱次世代の火:本当に気候にやさしい燃料とは?

「作るために“より多くのエネルギー”を使っていたとしたら、それは“エコ”と言えるのか?」バイオ燃料の生産実験 in ハワイをベースに、農法・肥料・水資源の視点から検証していきます。

📝最後に

「理想か、現実か――。その対立を超えて、“どうすれば未来に火を灯せるか?”それを、これからもみなさんと一緒に考えていきたいと思います。」

次回は、「電気のある暮らしは、誰のものか?」から始めていきます。ご意見・感想・共有、いつでも大歓迎です!

続きもどうぞお楽しみに 🔆


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