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魚がごはんを食べられない!?河口で起きている“すれちがい”の物語

🐚 アーシィのやさしい海日記

川と海が出会う場所

― 河口(エスチュアリ)のひみつ


アーシィ
アーシィ

こんにちは。北の海からやってきた、アザラシのアーシィです。


今日は「河口(エスチュアリ)」っていう、ちょっと特別な場所のお話をしたいなと思います。







🌊 河口って、どんな場所?

河口っていうのは、川と海が出会うところのこと。淡水と塩水が混ざり合って、ちょうどいいバランスの水になる不思議な場所。

そこにはね、たくさんの命が集まるの。小さなエビやプランクトン、そしてそれを食べにくる魚の子どもたち。その子たちを狙う、大きな魚や鳥たちもやってくるよ。

アーシィにとって、河口は「生きものたちの保育園」みたいな場所。みんなが安心して育って、次の世界に旅立てるような、やさしい流れの中にあるんだ。

🌊 河口って、どんな場所?
🌊 河口って、どんな場所?

🌱 自然が水をきれいにする場所

でも、河口のすごいところは、それだけじゃないの。実は、川から流れてきた水を自然にろ過して、きれいにしてくれる場所でもあるんだよ。

畑から流れ出た栄養や、町からやってきた汚れを、河口の泥や植物、そしてプランクトンたちが少しずつ吸収してくれる。まるで、**地球の中にある“水のフィルター”**みたい。

アーシィがまだ小さかったころ、ママはこう言ってたの。「川の終わりは、新しい命のはじまりよ」って。

🌎 地球のバランスの中で生きる

そんな大切な河口は、地球全体の健康にも関わってるんだよ。そこにいる生き物のリズムは、季節や水の温度、雨の降り方、潮の満ち引き…いろんな自然の“音”と一緒に動いてる。

河口ってね、静かに見えるけど、目に見えない「調和の音楽」が流れている場所なの。それを感じると、アーシィの胸もほんのりあたたかくなるんだ。

🐾 でもその“やさしいリズム”が、もし少しずつ狂ってきていたとしたら?

それは…まるでオルゴールの音が、ある日、少しだけ早くなったり遅くなったりして、それに合わせて踊っていた生きものたちが、タイミングを外してしまうみたいなこと。

そんな「ずれ」が、今、河口(エスチュアリ)で実際に起きているんです。

それでは、ここからは…

魚がお腹をすかせている理由

〜リズムのずれがもたらす“ミスマッチ”とは?〜

🎣 想像してみてください。

あなたは、まだ小さくてお腹をすかせた若い魚。川と海が出会う河口で、これから海へ旅立つ前に大きくなろうとしているところです。

食べるのは、海の中をただよう小さな生きもの──プランクトン。彼らは春のある時期に、ちょうどよいタイミングで現れてくれるから、あなたは育つことができます。

でも、それって本当に「いつも当たり前のように起きること」なんでしょうか?


海の中を漂う小さな生き物 - プランクトン
海の中を漂う小さな生き物 - プランクトン

☀️ そのタイミングをつくっているのは…

  • 水温

  • 太陽の光

  • 塩分の濃さ

  • 雨や雪どけ水の流れ

こういった自然の「合図」がぴったりと揃ってこそ、魚とプランクトンは同じ場所・同じ時間に出会えるのです。

でも今、その合図が狂い始めている──それは、人間が引き起こしている「気候変動」が関係しているんです。

🔥 気候変動で起きていること

  • 春が早くやってくるようになった

  • 水温が上がりすぎるようになった

  • 雪どけの時期が変わってしまった

  • 河口に流れ込む水の量が減った

その結果、プランクトンは早く出てくるようになり、魚はまだ来ていない。あるいは、魚が来ても、もうプランクトンは減ってしまっている──。

それが、科学の世界でいう「フェノロジー・ミスマッチ(生きものたちのタイミングのズレ)」。


📉 西ヨーロッパ最大の河口で見つかった“ずれ”

研究者たちは、フランスの「ジロンド河口」で25年間にわたるデータを調べました。その結果、魚とプランクトンが一緒にいられる時間が、どんどん短くなっていることがわかったんです。

つまり、魚たちはお腹をすかせたまま、次の海へと旅立たなくてはならないかもしれない──。

そしてこれは、河口という場所が果たしてきた「命を育てる機能」そのものが、弱まっているサインでもあります。

🧭 アーシィの気づき

わたしは、家族を失ってからずっと思ってた。「自然はもう、わたしたちの味方じゃないのかな」って。

でも違ったの。

自然は、まだがんばってる。

ただ、その“がんばり”が追いつかなくなってきているだけなんだ。

だったら、今度はわたしたちが、自然の味方にならなくちゃ。

🔍 自分で“水の声”を聞いてみよう

〜アーシィからのやさしい学びのヒント〜

「知ること」は、未来を変える最初の一歩。アーシィと一緒に、河口のリズムや気候の変化について、あなた自身の方法で学んでみてほしいな。

ここに、いくつかのヒントをのせるね。

🌍 1. 地図を広げてみよう

  • 自分の住んでいる近くに「川と海が出会う場所(河口域)」があるか調べてみよう。

  • その場所はどんな名前? どんな魚や鳥がいる?

📎 Googleマップや国土地理院地図、環境省の自然観察マップが役に立つよ。

🌊 2. 水の流れを知ろう

  • 川の水はどこから来て、どこへ向かっているの?

  • 雪どけや雨、ダムの水は河口にどう影響しているんだろう?

📎 「流域図(りゅういきず)」で調べると、水の旅が見えてくるよ。

🌱 3. 自然のタイミングを記録してみよう

  • 春になったら、どんな花が咲いている?

  • 川に魚が上ってくる時期や、鳥の鳴き声が変わるのはいつ?

📎 スマホのメモや写真で記録をつけてみて。「フェノロジー日記」って言うんだよ!

🧪 4. 科学者の調査と比べてみよう

  • アーシィが話してくれた研究と、自分の地域では何が同じで、何が違うかな?

  • それを自由研究のテーマにしてもいいね!

📎 先生や図書館、科学館にも聞いてみよう。「地元の川を調べたい!」って伝えれば、きっと応援してくれるよ。

💬 5. 話してみよう

  • 今日の話、誰かに話してみよう。

  • 「こんな不思議な場所があるんだよ」「魚がごはん食べられなくなってるって知ってた?」って。

📎 自分の言葉で伝えることは、自然を守る“最初の活動”なんだよ。

📚 参考にした研究や資料

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